BSよしもとの番組『東野山里のインプット』に、大のスーツ好きとして知られるお笑い芸人・ドンデコルテの渡辺銀次さんが登場し、東野幸治さん・南海キャンディーズ山里さんにスーツの魅力を熱弁する回が話題になりました。
芸人さんならではの視点で語られる「スーツ論」は、私たちスーツを扱う仕事をしている人間にとっても、あらためて考えさせられる内容でした。今回はその放送内容を振り返りながら、スーツの魅力についてまとめてみたいと思います。
こだわりは細部に宿る
渡辺さんはまず、自身の着こなしの細部について語りました。ベルトではなくサスペンダーを選ぶ理由、ダブルベストのカット、そして靴にまでこだわりが及びます。シングルとダブルのルーツといった歴史の話や、ボタンダウンシャツが生まれた経緯といった豆知識も披露され、東野さん・山里さんも興味津々だったようです。
さらに「座るときはジャケットのボタンを全て外すのが基本」といったマナーや、ネクタイの結び方についても解説。細かい所作の一つひとつに、スーツという衣服の奥深さが表れています。
「機能性」は着心地ではなく社会性にある
番組の中で特に印象的だったのが、渡辺さんのスーツ観です。渡辺さんは、着心地の良さだけで言えばスーツはスウェットに敵わないと前置きしつつ、スーツの機能性は「外側」つまり社会性の面にこそ発揮されると語りました。電車の中でも、飲み屋でも、ドレスコードのある場でも、そして海外の要人と会う場面でも通用する。それがスーツという服の強みだという考え方です。
さらに渡辺さんは、スーツの最大の魅力を「成人男性のデフォルト」であることだと表現しました。マイナスでもプラスでもない「0」を表現できる衣服であり、そこから個性を足し引きしていけるからこそ、多くの人に選ばれ続けているのだと分析しています。漫才師にスーツ姿が多いのも、この「0」から自分らしさを乗せていける自由度の高さが理由ではないか、とも語っていました。
まとめ
芸人という、日常的に「人にどう見られるか」を意識する仕事をしている渡辺さんだからこそ語れる、実感のこもったスーツ論でした。スーツは単なる「仕事着」ではなく、着る人の印象や人間性を伝える一種の名刺のような存在なのかもしれません。
日々スーツと向き合う仕事をしていると、つい「サイズ感」や「素材」といった機能面の話に偏りがちですが、こうした「なぜスーツを着るのか」という根本的な魅力を振り返る機会は貴重です。お客様にスーツをお選びいただく際にも、こうした視点を交えてご案内できればと思います。
参考:BSよしもと『東野山里のインプット』#66(2026年6月21日放送)
