かつてビジネスマンの必須アイテムだったネクタイピンとカフスボタン。しかしクールビズの浸透とともに、この二つの小物は長らく「使う機会がない装身具」として、引き出しの奥で眠りについていた。ところが今、潮目が変わりつつある。
CHAPTER 1|世界のトレンドが示す、”小物回帰”の兆し
2026年のジュエリートレンドを俯瞰すると、ある共通の空気感が見えてくる。ピンタレストが発表した2026年トレンドレポートでは、ブローチが来年最大級のジュエリートレンドの一つとして挙げられている。同レポートでは、2026年にはベビーブーマー世代からミレニアル世代の男性まで、ヴィンテージのピンやクリスタルのクリップオン、代々受け継がれるようなブローチでコーディネートにアクセントを加えるようになると予測されている。
これはまさに、ネクタイピンという文化の再評価そのものだ。単なる「機能的な留め具」ではなく、「自分を語るための一点」としてピン類が見直されているのである。
さらに、ジュエリー業界全体の空気感として、2026年のジュエリーはもはや静かにステータスを示すものではなく、自分自身のルールで、堂々と、確信を持って好みを主張するものへと変化しているという指摘もある。この「静から動へ」という価値観のシフトは、そのまま男性の小物選びにも波及していくだろう。
CHAPTER 2|なぜ今、ネクタイピン・カフスが見直されるのか
① “量産型スーツ”への反動
ファストファッション化が進み、誰もが似たようなスーツ・似たような着こなしになった今だからこそ、「他人と被らない一点」への渇望が強まっている。ネクタイピンやカフスは、価格帯を抑えつつ個性を出せる数少ない領域だ。
② リモートワーク後の”ここぞ”需要
在宅勤務が定着した今、逆に「出社日」「対面の商談」「会食」といった機会が特別なものになった。だからこそ、その日だけは小物にまでこだわりたいという心理が働いている。
③ ヴィンテージ・ジュエリーブームとの合流
古着や中古ジュエリーの再評価という大きな潮流の中で、アンティークのカフスやタイピンも「掘り出し物」として若い世代からも注目され始めている。
CHAPTER 3|実際どう選ぶ? 現代的な取り入れ方
ネクタイピンの今どきルール
- 位置:シャツの第3ボタンと第4ボタンの間、やや低めの位置に留めるのが今の主流。昔ながらの「高め位置」はやや古典的な印象に。
- 素材:マットゴールドやガンメタリックなど、光りすぎない質感が上品。ピカピカのシルバーは少しかっちりしすぎる印象になりがち。
- デザイン:バータイプのシンプルなものが1本あれば万能。慣れてきたら、パールや石をあしらった個性派に挑戦を。
カフスの今どきルール
- シャツ選び:カフス用のダブルカフス(フレンチカフス)シャツが必要になるため、まずは1枚持っておくと便利。
- TPO:商談よりも、会食・パーティー・結婚式などの「特別な日」に投入するのが今の主流の使い方。
- さりげなさが美学:袖から覗いた時にチラッと見える程度の主張が、”できる男”の余裕を感じさせる。
CHAPTER 4|世代別・小物との付き合い方
20〜30代
「毎日使う」のではなく「ここぞという日の勝負アイテム」として1〜2点を厳選する使い方が主流。ブランドロゴが控えめな、シンプルなデザインが好まれる。
40代以上
祖父や父から譲り受けたヴィンテージのカフスを大切に使う、という”ストーリーのある小物”の楽しみ方が増えている。高価な新品より、時代を経たものに価値を見出す層だ。
EDITOR’S EYE|編集後記
ネクタイピンもカフスも、かつては「格式のための道具」だった。しかし2026年の今、それは「自分を表現するための最後の砦」という新しい役割を担い始めている。
スーツという均一化されたユニフォームの中で、誰もが同じように見えてしまう時代だからこそその小さな一点に、あなたらしさを込めてみてはどうだろうか。派手である必要はない。ただ、選んだ理由を聞かれた時に、少しだけ語れるストーリーがあること。それこそが、これからの小物選びの品格なのかもしれない。
上記風潮は2027年度も変わらず「自分を表現するため」アイテムとして今後も活躍が期待できます。
オーダースーツRoi Renard(ロイレナード)は小物の使い方も含め、お客様自身の拘りへのアドバイスができると考えています。ご自身が考えるカタチに我々が寄り添い最高の着こなしをお手伝いできればと思います。一度ご相談ください。
